下がベンガル湾です。
エベレストはどこかわかりますか。
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テクニック&ポイント
100万分の1の世界航空地形図を原図に、鉛筆で影を描いた後、コンピューターに
取り込んで加工する。西北の方向からの光線を想定して影をつける手法は、前回掲載
した箱根の地図と同様のものだ。
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超大陸の一部になった感覚
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世界の屋根「ヒマラヤ」は、標高7、8千メートルの山々が、パキスタンからインド、ネパール、ブータン、そしてチベットへと連なる大山脈だ。その長さは、およそ2400キロ。北海道と九州を結んだ距離に匹敵する。この大山脈の誕生のプロセスと現在の姿の両方を地図に起こした森下さんは、時空を超えた感覚でヒマラヤを身近に感じている。
ヒマラヤ誕生の歴史について、ご存じでしょうか? 正確なことは専門の先生に教えていただくとして、私にインプットされた大昔のお話。
むかしむかし、それも何億年も昔のこと。地球には単一の超大陸しかなかった。後に、パンゲアと名付けられたこの超大陸はやがて二つに分かれる。ゴンドワナと名付けられた南の大陸は、さらに南米、アフリカ、インド半島、オーストラリア、南極に分かれていく。中でもインドは、体は小さいが活発で動きが早く、どんどん北上を続けた。そのうち、北の大陸ローラシアにぶつかり、くっついてしまうのだが、圧縮された勢いで海岸が盛り上がり、皺(しわ)ができた……。そのときできた皺がヒマラヤ山脈なんだそうです。
エレベスト? エベレスト? よく間違えてスタッフに一笑される私ですが、直径1メートルの地球儀を想定してみました。8848メートルの世界一高いエベレストでさえ、地球儀上ではほんの1ミリ程度の出っ張りしかありません。そんなことを考えながら見ると、このヒマラヤの地図も、いつもの地図とはひと味違ったものに見えるかも知れません。
私は、この春、有限会社モリシタを閉じました。地図の仕事を始めて40年。会社を興して23年。山ができるのに何億年もかかる大自然の営みに比べれば、ほんの一瞬、小さな出来事です。まして、引っ越しの片づけをしていて、本を捨てようか捨てまいかなどと悩んでいる自分など、小さいちいさい。
構成 三代川律子[フリーライター]
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